口腔ケアと歯石除去
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歯石除去前
↓
歯石除去後
歯周病の進み方
戸田動物病院監修 インターベリーα®参考資料|物産アニマルヘルス株式会社 より
① 正常な状態は、歯と歯肉がシームレスな状態(境目が綺麗に繋がるように見えます)
②歯肉炎では、歯肉が腫れ 歯と歯肉の境界が明瞭になります。
ヒトの歯周ポケットが深くなったくらいなイメージです。
③歯石が目立ちます。
歯の根元に色が付きます。
歯石や汚れが歯の根元だけではなく、歯周ポケット内に入り始めている状況です。
場合によっては、歯支える骨(歯槽骨)にも影響が出ることがあります。
④歯石がたまり、歯肉が押しやられ、また歯石がたまり、歯肉がやせる
負のスパイラルに入り込んだ状況です。
歯の根元に、鍾乳石の様なものがしっかりとついてしまいます。
場合によっては顎の骨が骨折してしまうことも。
処置中も、骨がもろくなっているためリスクが上がります。
が、処置をしなければ症状は改善しません。
多くの歯を抜くことになることもあります。
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ワンちゃん・ネコちゃんの口の問題についてですが、
出来れば歯磨きを行ってほしいということがまずはじめです。
歯を磨くよりは、
歯と歯肉の間の汚れを取ってほしというのが正確なところです。
人に比べ、ワンちゃん・ネコちゃんは虫歯が少なく
歯周病が多い
と言われています。
これは、
・糖よりもタンパク質メインの食事によるもの
・唾液がアルカリ性寄りで、量も多いこと
・上記の理由から、口腔内の環境では酸ができにくいこと
・歯の形状 すり潰す形の歯が無いこと
(食べ物が詰まりにくい)
為とされています。
その為虫歯が少なく、
歯肉の根元の汚れをケアしないと
歯周ポケット内での細菌の増殖などが起こり
歯周病になってしまいます。
なので、日々の口腔ケア
歯肉の歯間の洗浄を行うことで
健康な状態を維持することが可能なのです。
口腔ケアについては
ブラシによる歯周ポケット内の汚れの除去が、ベストです。
が、
ワンちゃん・ネコちゃんには歯磨きの概念はありません。
なので、口を触る練習からはじめ、
次いで、ガーゼで磨く
最後に歯ブラシを使う
という感じで、慣らしてゆかないとうまくいきません。
ブラシを使う年単位かかる仔もいます。
慣らせるには
口を触ったのならばおやつをあげる
ガーゼで磨いたらおやつをあげる
ブラシを使わせてくれたらおやつをあげる
など、ご褒美を使うことも有効です。
要は、定期的な歯周ポケット内の汚れが取れればよいのです。
加えて、歯磨き剤を用いることも有効です。
人の歯磨き粉のような研磨を目的としたものではなく
歯石を溶かすタイプの歯磨剤なども
当院ではお勧めしています。
ガムはどうですか?
と聞かれることも多いのですが
ガムも有効です。
ただし、注意点があります。
1.硬すぎるものは要注意
歯が欠ける場合があります。
歯が欠けてしまうと、
充填や歯の成形を行える専門の動物病院へ
紹介することとなります。
加えて、複数回の麻酔が必要となる場合もあります。
2.丸のみをする
ワンちゃん・ネコちゃんは基本
食べ物を咀嚼せず
ある程度の大きさになると
丸のみします。
その際、ガムが気管を詰まらせると
命にかかわります。
なので、丸のまま与えるのではなく
目が届く状況で使用してもらう
事を推奨しています。
また
アソボーンなどのガムに重りを付け
丸のみできないようにするグッズ
等を使用すると安全性が上がります。
ガムをはじめ、
絶対に安全というものはない
という認識が大切です。
因みに
食道にも物が詰まることがあります
特に、リンゴやナシなど
人が食べる大きさで与える方がおりますが
絶対にやめてください
小さくスライスするか、摺り下ろしてあげてください。
苦しい思いをするだけでなく
食道狭窄を起こし大事につながることがあります。
当院では
残念ながら内視鏡がありませんので
内視鏡のある病院へ紹介することとなります。
歯の問題は大丈夫や
歯磨きだから危険はないだろ
ではなく
起こるだろうと備えることが重要です。
ワンちゃん・ネコちゃんの口の問題の1つに
歯石があります。
歯石は汚れと細菌の塊です。
時間がたつと、歯周ポケット内で歯垢が作られ
歯肉が腫れてきます。
歯肉が腫れた後は、歯肉がやせてきます。
歯石がついて、歯肉が押し下げられるイメージです。
症状が進むと、歯の根元まで細菌が入り込みます。
入り込んだ細菌により、歯の根元を支える骨の穴が溶かされたり
歯の根元に膿の溜まった袋が出来ることもあります。
当然歯がぐらついたりするので
痛みでご飯が食べられない状況に陥ったりするのです。
歯の健康は、全ての健康に通じると言えます。
歯石除去についてですが、
皆さんは、
最近ご自身が歯科にかかられたことはありませんか?
掛かられたことがおありでしたら
処置の終わりに、
歯石の除去を受けられたことはないでしょうか?
歯の根元に、機械の先端を当てる
チクチクして処置後に口をゆすぐと
出血などもあるあの処置です。
(受けたことのない方は歯を大事にしていらっしゃる!)
さて、ワンちゃん・ネコちゃんの歯石除去の処置は
基本があれです。
場合によっては抜歯もします。
その上でよくある質問です。
無麻酔で歯石除去はできますか?
当院では
申し訳ありませんが
無麻酔での歯科処置は行いません。
1)ワンちゃん・ネコちゃんには口腔ケアの概念が通じない事
2)その為、処置時に我慢ができないことが多いこと
暴れた際には、怪我の可能性もあります。
3)大切なのは、歯の根元
歯周ポケット内の汚れの除去です。
あのチクチクした痛みを伴う処置が
重要なのです。
見える範囲の歯石の除去も大切ですが、
さすがに無麻酔では、歯周ポケットまでは
アプローチが難しいのが現実です。
超音波振動ブレード(スケーラー)で
汚れを取るだけでなく、
ラバーカップと研磨性の歯磨きを使い
ポリッシングもかけます。
細かな傷を無くし
歯垢をつきにくくする大切な処置です。
歯の裏側まで処置するので
麻酔をかける必要が出てくるのです。
歯石除去の回数を可能な限り減らすために
日々の口腔ケアと定期チェックが
大切なことを意識していただければ幸いです。